2025/05/27

強まる日差しに夏の訪れを感じる季節を迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか? 本日も当ブログへアクセス頂き、誠にありがとうございます。
皆様は”野辺送り” という葬儀に係る儀式をご存じでしょうか? ”野辺送り”とは、葬儀における儀式のひとつで、古くは葬儀が終わった後に故人を埋葬する場所まで、あるいは火葬場まで送ることを指しました。 葬儀場となる自宅やお寺から土葬墓地や火葬場まで続く弔いの列は、”葬列”と呼ばれたものです。
現代ではほとんどがホールから地元の火葬場まで霊柩車で送ります。 霊柩車を先頭に、バスやお寺様の車、親族の車の行列が”葬列”にあたるのかもしれません。 私は霊柩車の運転手をお手伝いさせていただいた時、同乗の方に”火葬場からの帰りはちがう道をとおるのでしょうか?”と尋ねられることがあります。 このような風習も”野辺送り”の名残りなのかもしれません。
”野辺送り”が珍しくなった現代においても、その風習・しきたりは地域の葬儀に深く根付いています。出棺時に「どうしてそんなことをするのだろう?」と不思議に思うようなことをみかけることもあります。遺影や位牌を持つ役や、葬儀場を出る順番が決まっていることを不思議に思う人もいるでしょう。 それは、野辺送りがあった頃の名残なのです。野辺送りでは、地域によって違いはありますが、 棺を中心としてな葬列の順番や役割がきまってました。現代では、出棺前にあらかじめ葬祭品を持つ役を指定されることがあります。「位牌は喪主が、遺影は故人の配偶者が持つ」「出棺時に血縁者(甥っ子や孫など、近親者の男性)が棺を持つ」「喪主が位牌を持って先頭で」「血縁の薄い人はなるべく後から出る」など… 自宅葬の場合は、 出棺は玄関ではなく縁側から出る~なくなられた方には家の玄関を使わせないという考え方から、 棺を縁側から出す風習があります。 出棺時に棺を三回回す~が故人が家へ戻ってこられないよう、方角を分からなくするために… 現世に未練を残さず、あの世で幸せに過ごして頂きたいいう願いをこめ… この風習が残っている地域があります。
前述の、ご遺族様の違う道で帰るの?の質問も故人が家へ戻ってこられないよう、というこの風習の名残りなのです。
葬儀式の一連の儀式の一つ一つに何かしらの意味があるのです。 簡素化された現代の葬儀式… 今後はますますその傾向が増すと思います。 しかしながら、昔からの風習を大事に、大切にする心はそれを行う行わないに限らず私たちの日々の暮らしになにかしらの潤いを与えてくれるのではないでしょうか?
営業葬祭部:平松達詞