2025/09/7

先日、ひとつのご葬儀を担当させていただきました
お見送りされたのは、お父様を亡くされたご家族様
その時間は、静かで、あたたかくて、そしてとても心に残るものでした
お父様は、長年バスの運転手として働かれていた方でした
毎日たくさんの人を乗せて、安全に目的地まで送り届けるお仕事
その中で、困っている人にそっと手を差し伸べたり
そんな気配りのできる方だったそうです
「父は、誰にでも気さくに話しかける人でした。同僚からも、本当に信頼されていたと思います」
喪主様がそう語られるときの表情には、誇らしさと、深い愛情がにじんでいました
ご葬儀の準備の間、ご遺族の皆様は空いた時間に折り鶴を折っていらっしゃいました
小さな紙に、ひとつひとつ丁寧に手を添えて、静かに折っていくその姿は
まるでお父様との思い出をひとつずつ形にしているようでした
折り鶴は、祈りの象徴でもあります
「ありがとう」「おつかれさま」「また会える日まで」
そんな言葉にならない気持ちが、鶴の羽にそっと乗っていくようでした
そして、お別れのとき
たくさんの折り鶴が棺の中に手向けられました
色とりどりの鶴たちが、お父様のまわりをやさしく包み込むように並べられ
会場は静かでありながら、深いぬくもりに満ちていました
その光景を見ながら、私は改めて「人を想う気持ちの美しさ」を感じました
ご家族の皆様が折った鶴は、ただの折紙ではなく
お父様への感謝と敬意、そして愛情そのものだったのだと思います
お父様が生きてこられた日々
その中で築かれた人とのつながりや、やさしさが
このお別れの時間にしっかりと息づいていたこと
それはとても尊く、忘れがたいものでした
ご家族の皆様がこれからもお父様の思い出とともに、穏やかな日々を過ごされますように…
営業葬祭部:平松 卓也